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April 16, 2008

「虚(うつろ)の王」

おれはいつも移動時間や休み時間にしか本を読む時間がなく、家に帰るのは深夜なので家でゆっくり読む時間がない。だから一冊読むのに結構時間がかかる。でもこの「虚の王」(馳星周)は550ページくらいなのに4日くらいで読んでしまった。おれが覚えてる限りここ二年くらいで一番早いペースかも。途中でとめることができなくて、どんどん読んじゃったんだんだよね。他の馳さんの作品と違った、ちょっと幻想的な怖さがあったから面白く感じたのかな。というのも渋谷の売春組織を仕切っている高校生のエイジくんの存在のせい。弱っちい優男の内面に潜む無垢な残虐性。空虚で人にも自分自身をもなんの感情もなく傷つけることができる。だから暴力でしか感情を吐き出せない主人公は彼を恐れ、憧れる。コクトーの「恐るべき子供たち」を思い出
した。映画では実際にあった事件をベースにした「乙女の祈り」とか。乙一の作品でも出てきそう。でもエイジくんの行為はそこまでの怖さはない。登場する前の彼に対する噂が大げさすぎて、どんだけ怖い人間なんだろうって期待しすぎてたせいもあるけど。もっとイカれててもいいんじゃいない?って思っちゃう。

これが単行本で出版されたのが2000年ころ。ちょうどコギャル時代が終焉を迎ようとしているころ。でもたしかにコギャル系の勢いはすごかったけど、当時の渋谷の街って高校生たちに勢いあったかなあ?当時おれは池袋によくいて、渋谷はそんな詳しくないからなあ。たしか池袋はそのころは深夜、マックのテーブルに乗って踊っていたバカギャルがいた。駅周辺の公園が怖かったのもそのころで、どちらかというと渋谷より池袋のほうがやばかった印象がある。まあ、すでに一昔前の話だからよく思い出せないし、気にならないけど。現在の話になると作品が現実の街や文化などと違うと気になって、これは違う!作者は分かってないって言う人も出てくるんだけど、昔の話なら気にならないんじゃない?当時のことが印象的な人たちは違うでしょうが。まあフィクションだし、「不夜城」ほど現実とかけ離れていないけどね。

ノアールバリバリのころの馳作品だから、最後はいつものようにジョットコースター式に絶望へ隋ちていく。もう様式美だね。

※文庫本は光文社と角川の二社が出してる。どういうことだろう?

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