「雪月夜」
単行本でたのが2000年だから、まだ初期のころの暗黒面全開の馳 星周作品になるのかな。文章もそんな感じで今とちょっと違う。「不夜城」の流れをくんでいるけど、舞台が歌舞伎町でなく北海道の根室ということもあってかなり叙情的。静の中の暴力。
根室の納沙布岬から見える歯舞諸島を見ると国境という言うものを意識せずにはいられない。宗谷岬とともに日本から他の国が見える数少ない場所。二つとも、加えて領土問題が絡んでいるので、他国の領土なのか自国の領土なのか分からない複雑な思いが岬から観ていてわき起こる。学校の授業でロシア語を教えるところが多く、それほど根室とロシア人の付き合いは深いらしい。おれは2,3回バイクで行ったことがあるけど、繁華街や港に出てないせいかロシア人見たことないなあ。花咲ガニはまじうまいぞ!
北の小さな町の描写はやっぱうまい。さすが道産子。その雪に覆われた厳寒の街の中で、ロシア人を巻き込んで鬱屈した欲望が交差する。ラストは馳さんらしいかな。でもおれにはやっつけ仕事みたいに思うことも。でもそれまでの流れが面白いし、人間がだれでも持っている負の要素が爆発している部分に引かれてしまう。つまり、おれ自身持っている暗黒面と登場人物のそれがシンクロするんだよ。フィクションの世界だと、おれも彼らと同じような行動をとっていてもおかしくないわけ。でもまあ、格差社会の上の人たちには、違う人種たちによる見世物的な世界に映るんだろうね。
にしても、根室の人たちは、これよんでどう思ったんだろう。








