「歌舞伎町炎の夜」
すげぇ!普通の新宿アングラ系だと思っていたら、そこから一歩突き抜けて官能幻想小説になってる。作者の小沢章友って幻想、ホラー系の人みたいだね。19世紀のパリのような、退廃と神秘的エロさをみごとに歌舞伎町に持たせたよ。短編それぞれの主人公は文学青年がもっていそうな鬱屈したもの、とくに性へのコンプレックスを幼少から持っていて、その内面が歌舞伎町の街に触発され、現実か非現実なのか分からない幻想的な空間に主人公達を引きづり込んでいく。短編集なので当然若干作品に波があるけど、どれも素晴らしかった。ただバタイユの作品がからむやつは、おれにはラストが消化不良。
主人公のほとんどがいい年して結婚もできず孤独で寂しい人生歩んでいるか、一見普通に生活しているものの心の中に幼少からのコンプレックスを持ちづづけている人間。この街はそういう人間がとてもあう。かれらは街をさまよい、鬱屈したものや寂しさから風俗に行く。作品にヘルスでなく、のぞき部屋が多く出てくるのは、そういった主人公たちが求めるのが外へ世界への脱出を求めているというより、さらに自分の精神世界に入り込もうとしているからか。でもおれもあと少ししたらそういう寂しい奴といわれる立場の人間になるんだよな。あと10年もしたらね。その10年はあっという間だろう。その時おれはどんな人生送っているだろう?できれば彼らのようにはなりたくないってのがおれの本音。
すべてが2003年の歌舞伎町のビル火災の時に起こった話としていて、火災現場付近でそれぞれの主人公が微妙にすれ違っている。同じ時間、同じ街、そしてその場所で起こっているビル火災をそれぞれが共有することで見えない繋がりができている。ただ、ビル火災があまりにも悲劇的な事故(事件?)だったので、これをテーマにする必要あったのかな?なんて思ったりもする。重さを考えるとねえ。
ともかくこれ、お勧め。
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